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考える魚



生身の体をくねらせながら、
今日も彼女はひっそりと生きる。
真っ昼間でも真っ暗闇の
海底で、ただ息を潜める。


熱帯の魚が彼女に言った。
「何だい君のそのナリは。
鱗一つも付いてない。
それに引きかえ私を御覧。
金の鱗が眩しくないかい?」

大きなクジラが彼女に言った。
「さぁその小さな世界を捨てて、
大きな海に目を向けて御覧。
あらゆる海洋泳ぎ渡れば、
私の様に大きくなれるよ。」

小魚たちが彼女に言った。
「君の近くにいてもいいよね?
ここなら危険な魚もいないし、
君のおこぼれ喰えたら満足。
誰にも頼らぬ君はすごいね。」

ブリやハマチが彼女に言った。
「現状維持で満たされてるの?
僕らは違う。成長する度、
名前も変わるし、値段も上がる。
食われることに変わりはないけど。」


彼女は一人、静かに思った。
美しい鱗を付けてみせたら、
私の心は華やぐだろうか。
色んな海を泳ぎ回れば、
私の故郷は見つかるだろうか。
多くの魚と手を組むほうが、
『素敵』なものを生めるだろうか。
立派な名前や値札がつけば、
「悔いなく生きた」と死ねるだろうか。


かくして彼女は深海を出ず、
自分好みの棲み家を作った。
必要のない眼は退化させ、
曇り一つない真っ暗闇で、
明かりを一つ、頭に灯した。
日夜考える『アンコウ』となった。



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